著者:
西日本初ほうれい線治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科院長
ボトックスビスタ注入認定医師
笹川新也 ドクター紹介はこちら
「額や眉間にボトックスを打つと、瞼が下がって重たい感じがしてしんどくなる」といったことを耳にしたことがある人がいらっしゃるかと思います。
確かに、額と眉間ボトックスにはそのようなリスクがあり、こと額ボトックスに関してはそこまで珍しいリスクでもありません。
仮にそのようなことが起こっても時間とともに自然に改善しますが、瞼が重たくなるとQOLに関わることもあり、嫌ですね。
ここでは、ボトックスでなぜ瞼が下がるのか、瞼が重たくなる病気も紹介しながら、予防・治療方法についても解説致します。
目次
額のボトックスで瞼が下がる場合
原因
元々眼瞼下垂や、瞼のたるみが目立つなど、元々瞼が重たい傾向の人は、なんとか瞼を開けようとするため、額の筋肉(前頭筋)を補助的に使います。
額の筋肉を使えば、眉毛が上がり、瞼も開けやすくなります。
しかし、額の筋肉を使えば使うほど、額にシワが寄ってしまいます。
そうすると、今度は額にシワが目立つので、ボトックスを打ちたくなります。
ボトックスが効くと、額のシワは良くなりますが、筋肉のパワーが弱くなり、瞼の重みを支えられず、瞼が重たくなってしまうわけです。
健常な人でもボトックスの量が多すぎたり、眉近くに注入することで眉毛下垂が起こり、瞼が重たくなります。
治療法
ボトックスで瞼が重たくなった場合、残念ながら即効性のある治療方法はありません。
- ボトックスは熱に弱い特性があるので、患部を温めたりマッサージをする
- ボトックス拮抗剤(アセチルコリン注射 通称オビソート)を週1回注射する
といったものがありますが、効果は不確実です。
ボトックスの効果が弱くなってくると自然に治るので、我慢できるのであれば1ヶ月ほど待てば改善してきます。
眉毛を下げる筋肉にボトックスを注入することで少々改善する場合もある
眼輪筋や鼻根筋にボトックスを注入することで、少し改善する場合もあります。
「ボトックスを打って瞼が重たくなったのに更にボトックスを打って大丈夫か?」と思われるかもしれませんが、
眉を上げる筋肉ではなく、下げる筋肉にボトックスを注入することでバランスを保ち、瞼が重たくなるのを改善させます。
予防方法
ボトックス注入量を減らす
元々瞼が重たい人は、額のボトックスを行う際には注入量を少なめで打つことでリスクを軽減することが可能です。
ただし、ボトックスの効果は減少します。
ボトックス注入部位をおでこの上の方にする
額のボトックスでは、おでこの下の方、眉に近いところにボトックスが効くと眉毛下垂が起きて重たくなりやすいです。
そのため、眉から遠い部位にボトックスを注入することで瞼が重たくなりにくくなります。
その代わり、おでこの下の方に出現する表情ジワは改善しにくくなります。
原疾患の治療をする
元々眼瞼下垂や瞼のたるみがあり、それで額にしわが目立っているのであれば、先にそちらの治療を行うのが良いです。
そうすると、瞼を開けるのが楽になり、額のしわも改善することで額のボトックスが不要になるかもしれません。
眉間のボトックスで瞼が下がる場合
原因
眉間のボトックスは額のボトックスほどではありませんが、瞼が下がる現象が稀に見られることがあります。
眉間ボトックスでは「皺眉筋」という筋肉めがけてボトックス注射を行うのですが、少し下の部分に「上眼瞼挙筋」という目を開けるための筋肉に、注入した薬剤が効いてしまうことで、瞼を開けにくくなります。
治療方法
ボトックスで瞼が重たくなった場合、残念ながら即効性のある治療方法はありません。
- ボトックスは熱に弱い特性があるので、患部を温めたりマッサージをする
- ボトックス拮抗剤(アセチルコリン注射 通称オビソート)を週1回注射する
といったものがありますが、効果は不確実です。
ボトックスの効果が弱くなってくると自然に治るので、我慢できるのであれば1ヶ月ほど待てば改善してきます。
眉毛を下げる筋肉にボトックスを注入することで少々改善する場合もある
眼輪筋や鼻根筋にボトックスを注入することで、少し改善する場合もあります。
「ボトックスを打って瞼が重たくなったのに更にボトックスを打って大丈夫か?」と思われるかもしれませんが、
眉を上げる筋肉ではなく、下げる筋肉にボトックスを注入することでバランスを保ち、瞼が重たくなるのを改善させます。
予防方法
ボトックス注入量を減らす
注入量を少なめで打つことで、目標の筋肉以外に効いてしまうリスクを軽減することが可能です。
ただし、眉間のしわ改善効果は減少します。
ボトックス以外で瞼が下がる場合に考えられる原因は?
また、ボトックス以外で瞼が重たく開けにくくなって疲れやすくなってしまう病気についてご紹介します。
これらが元々背景にあることで、ボトックスを打った時に瞼が下がりやすくなります。
眼瞼下垂
眼瞼下垂とは、瞼を開けるための腱膜・筋肉・神経に何らかの異常があり、瞼をうまく開けられず、まっすぐ向いた時に黒目が隠れてしまう病気です。
多いケースは、加齢で腱膜が伸びてしまうことによります。
眉毛下垂
眉毛下垂とは、加齢や紫外線の影響で皮膚のコラーゲンの質・量ともに低下することで、おでこの皮膚がたるんでしまうことにより眉が垂れ下がってしまうことを言います。
眼瞼下垂と間違えられることがありますが、眼瞼下垂と異なり、瞼を開眼する筋肉や腱には異常がありません。
眼瞼皮膚弛緩症
眼瞼皮膚弛緩とは、要するに瞼の皮膚のたるみです。
加齢とともにたるみが進行し、瞼の皮膚がまつげに被さってくることで視野を狭めてしまいます。
特に目尻側の方が皮膚が多いため皮膚の被さりが目立つ場合が多いです。
これも眼瞼下垂と間違えられることがあり、瞼の筋肉や腱には問題がありません。
まとめ
額ボトックス、眉間ボトックスともに人気のしわ治療ですが、中には瞼が下がりやすい人もいるので、カウンセリングの時に医師としっかり相談しましょう。
元々瞼が下がりやすい病気をお持ちの方は、そちらを先に治療するだけでしわが改善することもあります。
ボトックスについての記事
ボトックスを打ち続けると耐性がついて効きにくくなる?抗体について