著者:
西日本初ほうれい線治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科院長
ボトックスビスタ注入認定医師
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ボトックス治療は多くの美容クリニックで行われている施術で、人気の高い治療です。
実は、ボトックスという名前は米アラガン社が製造販売する製品名で、正式にはボツリヌストキシンと言います。
ボツリヌストキシンを利用した製剤は、ボトックス以外にも世界各社の企業が製造販売しており、様々な名称があります。
その中で、日本の厚生労働省からも認可されている米アラガン社「ボトックス」が余りにも有名になっため、いつしかボツリヌストキシン≒ボトックスのような言い回しになりました。
ここではそのボトックスの致死量について解説致します。
ボトックスは元々は生物兵器として開発された
ボツリヌストキシンは元々は神経毒素で、生物兵器として研究開発されていました。
1gで100万人を殺せるほどで、非常に強力な毒性があります。
その後、生物兵器としての使用は国際的な条約で禁止されました。
しかし、ボトックスの筋弛緩作用が注目され、兵器開発から転じて、医療に使われるようになりました。
ナノレベル(10億分の1g)という技術で精製され、顔面痙攣や、斜頸、痙縮といった病気を治すことから始まり、その後多汗症治療やシワ取りにも用いられるようになりました。
ボトックスの致死量について
医療用として使う分には、非常に安全に使用されているボトックスですが、その特性から使い方を誤れば生命の危険に及ぶ可能性があります。
具体的には70kgの成人で3000U(単位)の量を投与すると、致死量に至るといわれています。
しかし、一般的に美容目的で一度に3000Uといった多量のボトックスを使うことはありません。
多汗症や痩身目的には多量に投与する場合がありますが、それでも一度で500Uを越えなければ、死に至ることはもちろんのこと、ボトックスによる中毒症状は出ないと考えられます。
ボトックスによるこれまでの死亡例
痙性斜頚や脳性麻痺の既往の方が、症状緩和目的にボトックスを注射した結果、呼吸筋の機能が低下し、呼吸困難になり死に至ったという報告が海外であります。。
まとめ
安全そうに見えるものでも必ず致死量というものがあり、一度に多量投与は危険です。
水ですら致死量はあります(一気に6L飲むと低ナトリウム血症をきたして生死にかかわります)。
ボトックスにも致死量というものがあると考えられますが、実際にこれまでボトックスで亡くなった方はいられません。
それだけボトックスの安全性が高いということです。
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