著者:
西日本初ほうれい線治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科院長
ボトックスビスタ注入認定医師
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ボトックスは安全性が高く、美容クリニックではしわ・多汗症・痩身などボトックスを使った多くの治療があります。
しかし、安全上の問題でボトックスを打ってはいけない人もいます(いわゆる禁忌)。
そのような人がボトックスを打った場合、「全身性筋肉麻痺」「嚥下障害」「呼吸困難」になる恐れがあります。
ボトックスでコンプレックスを解消するため、美容クリニックに行くにしても、思わぬリスクが発生することは避けなければなりません。
ここでは、ボトックス注射が禁忌となる方について、解説していきます。
目次
妊婦・授乳婦・妊娠の可能性のある方
妊婦や授乳婦の方、妊娠の可能性のある方はボトックスを受けるべきではありません。
妊娠や胎児に影響を及ぼす可能性があるからです。
実際に海外で胎児への影響が報告されています。
そのため、ボトックス注入後3か月は避妊を行ってください。
小顔目的にエラボトックスを受けたいという妊婦さんや、額のしわ取りにボトックスを受けたという授乳中の方も、赤ちゃんへの影響を考え、授乳が終わってからボトックスを受けるようにしましょう。
ボトックスに対してアレルギーがある方
非常に稀ですが、ボトックス注射後アレルギー症状が出現する方がいます。
どちらかというと、ボトックスに対してというよりは、ボトックス製剤を作るときに添加するたんぱく質の成分に反応することの方が多いです。
そのためボトックスの添加物であるヒト血清アルブミンというたんぱく質にアレルギーをお持ちの方は、それが添付されているボトックスを受けることはできません。
ボトックスによるアレルギーが出現すると、身体に腫れ・痒み・赤みといった症状がでます。
また、蕁麻疹、瞼や唇の腫れ、喉の違和感、動悸、吐き気、下痢といった症状が出現することもあります。
アレルギーが出たとしても基本的には軽い症状で済みますが、最悪の場合ですと、アナフィラキシーショックを起こし呼吸困難で生命に直結することもあるので、ボトックスでアレルギーを起こしたことがある方は繰り返して受けない方が良いでしょう。
全身性の神経筋接合部の疾患をもつ方
重症筋無力症、ランバート・イートン(Lambert-Eaton)症候群、筋萎縮性側索硬化症の方はボトックス治療を受けることができません。
これらの疾患は、末梢神経から伝達された信号を筋肉に伝える際に通過する「神経筋接合部」という部位に抗体が出現し、神経がうまく筋肉に命令を伝えられず、筋力が低下する疾患です。
ボトックスはまさに「神経筋接合部」に働いて、筋肉の収縮をブロックすることで効果を発揮します。
そのため、元々神経筋接合部に障害を持っている場合、ボトックスにより疾患が悪化し、ものが食べられない(嚥下障害)、息がしにくい(呼吸困難)といった症状が出現する恐れがあり、非常に危険です。
筋弛緩剤を内服中
筋弛緩剤(ダンロトレン)を内服中の方も注意が必要です。
ボトックスにより筋弛緩作用が増強し、嚥下障害、閉瞼不全・頸部筋脱力等の過剰な筋弛緩が出現する恐れがあります。
その他併用注意の薬剤
あまり知られてはいませんが、アミノグリコシド系抗菌薬(ゲンタマイシン、スペクチノマイシン、フラジオマイシン)やテトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシン)、リンコマイシン系抗菌薬(クリンダマイシン・ダラシン)を内服中の方は、薬剤の相互作用でボトックスの作用が増強し、副作用が目立ちやすくなる可能性があります。
ニキビ治療の際に使用される薬も含まれているので注意が必要です。
精神安定剤(ベンゾジアゼピン系化合物、エチゾラム、リーゼなど)も同様に、薬剤の相互作用でボトックスの作用が増強する可能性があります。
不眠症などで使われることがある薬剤です。
こちらも嚥下障害、閉瞼不全・頸部筋脱力等の過剰な筋弛緩が出現する恐れがあります。
ニキビ治療・不眠症治療で使われていることから、内服している人はそれほど珍しくはありません。
これらは併用禁忌というわけではありませんが、医師の判断が必要ですので、ボトックスを受ける前に医療機関に必ず申告するようにしてください。
参考文献
まとめ
ボトックスは基本的に安全性の高い注射で、多くのクリニックで行われていますが、中にはボトックス治療を受けることで危険なリスクを伴うこともあります。
美容目的にボトックスを用いる場合、病気ではないので、安全を最優先した上で受けるべきです。
そのため、上記に該当する恐れがある方は、ボトックスを受ける前に必ず医療機関に相談するようにしましょう。
なお、当院へのボトックスのご相談は無料ですので、ボトックスでお悩みがある方はお気軽にお問い合わせください。
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