著者:
西日本初ほうれい線治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科院長
ヒアルロン酸ジュビダームビスタ/バイクロスシリーズ注入認定医師
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ここでは、飲むヒアルロン酸(ヒアルロン酸の経口摂取)が私たちの身体にとって効果があるのか、意味があるのか?
ヒアルロン酸はどのような形で摂取するのが良いかについて解説致します。
目次
ヒアルロン酸の効果について
まず、ヒアルロン酸はどのような効果を発揮しているのでしょうか?
ヒアルロン酸はゼリー状の成分で私たちの身体に多く含まれています。
特に重要な役割を果たしているのは皮膚、関節、眼球です。
皮膚
皮膚では組織と組織の間に分布しており、皮膚にとって欠かせない役割があります。
ヒアルロン酸が少なくなると、肌が乾燥することから、ヒアルロン酸を補うと皮膚に潤いとハリがもたらされ、肌の保水力が上がります。
関節
膝など、関節などでは骨と骨にある軟骨や関節液に含まれ、骨同士の潤滑油・クッション代わりになっております。
ヒアルロン酸が骨同士の摩擦による炎症を防ぐことから、ヒアルロン酸を補うことで関節痛が改善します。
眼球
硝子体という眼球の実質組織に多く含まれ、眼球の形を保つ働きがあります。
保水力が高いことから、ヒアルロン酸を補うとドライアイの改善につながります。
ヒアルロン酸の経口摂取で効果はある?
ヒアルロン酸配合のサプリメントなどが発売されていますが、それらを摂ることで私たちの肌にとって上記のような効果をもたらすのでしょうか?
答えとしては、「無駄ではないが、効率は悪い」と筆者は考えます。
髪の毛を摂取しても薄毛は改善するのか?
例えば、薄毛で悩んでいる方が髪の毛を摂取しても髪が生えるという話は聞いたことありません。
実際、男性型脱毛症(いわゆるAGA)の治療でファーストチョイスになるのは、髪の毛を摂ることではなく、AGAの医学的な原理に着目したフィナステリドと、ミノキシジルといった飲み薬です。
髪の毛を直接摂取しても、それが頭髪に髪の毛としてそのまま運ばれるわけではなく、腸管で分解されてしまいます。
ヒアルロン酸を経口摂取した場合
ヒアルロン酸を内服しても、髪の毛同様に腸管から吸収される際に分解されてしまいます。
つまり、摂取したヒアルロン酸がそのまま皮膚や関節に沈着するわけではないのです。
ただし、腸管でヒアルロン酸が分解されてできる成分が、体内で製造されるヒアルロン酸の原材料となり、体内のヒアルロン酸を増やす再合成の起点にはなるかと思います。
ヒアルロン酸を内服すると肌質が改善するというデータはある
実際に、ヒアルロン酸を1日120mg内服することを12週間続けると、皮膚のシワが改善し、肌質が改善したという論文データはあります。
リンク先:pubmed
論文によると、経口接種したヒアルロン酸が線維芽細胞というコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を合成する細胞を刺激し、肌質改善につながることが示唆されているそうです。
ヒアルロン酸は気になる部分に注射した方が早い
ヒアルロン酸配合の点眼薬を眼球に用いることで一時的にドライアイの改善にはなります。
また、ヒアルロン酸を含んだ美容液を外用することは短時間の保湿・肌質改善効果はありますが、肌のごく表面に作用しているだけなので長期的な効果は得られません。
もちろん、毎日化粧水・乳液・美容液などでスキンケアを行うことは重要です。
ただ、ヒアルロン酸を肌質改善に使うなら、内服や外用で皮膚に誘導していくよりは、ヒアルロン酸そのものを、水光注射などで肌の中に直接補った方が効果が早く、持続時間も長いと筆者は考えます。
最近では、針を使ってヒアルロン酸を肌の中に直接注入する市販品もありますが、注入する層が浅いので水光注射より効果が少ないです。
もちろん涙袋・鼻・顎・輪郭形成や、頬のコケ改善、ほうれい線・ゴルゴ線・マリオネットライン改善は、ヒアルロン酸内服では効果が得られないので、高分子ヒアルロン酸注射をオススメします。
当院では水光注射の取り扱いはありませんが、ヒアルロン酸を使った治療に興味があればお気軽に当院までご連絡頂ければと思います。
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