著者
西日本初ほうれい線治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科
院長
笹川新也 ドクター紹介はこちら
ここでは金の糸を挿入した後に、稀に発生する可能性がある、金アレルギーについて解説致します。
金の糸とは、アンチエイジング、顔のリフトアップ、たるみ改善を目的とした糸リフト(スレッドリフト)施術の一種です。
症状を改善させたい部位に純金からなる糸を挿入し、若返りを図ります。
金の糸の歴史は古く、1969年から行われているそうです。
しかし、施術後はMRI受けたくても断られる可能性や、金に対するアレルギーのリスクも指摘され、一旦挿入すると、抜去するのが困難です。
日本美容医療協会も金の糸について否定的な見解を示しています。
安全性に対する懸念から、最近では、生体に自然に吸収されていく吸収性の糸リフトが普及しています。
ここでは、金の糸と金アレルギーの関係についてご紹介致します。
金属アレルギーが起こる理由
金属が皮膚と触れあった時に、汗に含まれる成分で金属が溶け出し、その際に金属イオンと体内のタンパク質がくっついてしまいます。
そうすると、本来体内になかったタンパク質とみなした体内の免疫細胞が、敵と判断し、排除しようと免疫反応が引き起こります。
結果、湿疹や発赤などが症状の接触皮膚炎引き起こすと言われています。
金属を体内に挿入する場合でも、体液と触れ合うことで同様のリスクがあります。
例えば、虫歯治療の際に使用される金属でもアレルギー症状が出る可能性があります。
元々金は金属アレルギーが起こりにくい
金属アレルギーの起きやすい金属とは、ニッケル・コバルト・クロムメッキなどがありますが、これらは「イオン化しやすい金属」です。
一方、金は「イオン化しにくい金属」なので、他の金属に比べて溶け難く、一般的にアレルギー症状が起こりにくいと言われています。
しかし、調査によれば、金に対してアレルギーを持つかどうかの検査であるパッチテストにて、アレルギーが起こりにくい素材である金でも検査陽性者(金に対してアレルギーを持っている)は決して少なくなく、その割合も年々増えているようです。
金に対するアレルギーが増えている理由
金に対するアレルギーは女性で多く、年々増えています。
その理由としては、「ピアスをする人が増えた」ということが挙げられます。
金は元々はイオン化しにくく、汗と反応して溶けにくい=アレルギーがでにくい物質であるものの、ピアスで体に穴を空けると、体内に金属イオンが入りやすいため、体内のタンパク質と反応しやすくなります。
世界に目を向けると、欧米では日本よりも幼少期からピアスやアクセサリーをつける人が多いため、金に対するアレルギー率が日本より高めです。
金属アレルギーが出た場合の対処方法
金属アレルギーが出た場合の治療方法としては、原因金属を避けるようにしつつ、抗アレルギー薬の投与を行います。
しかし、金の糸は非吸収性の素材で、一回挿入すると抜去が難しくなります。(仮に抜去しようとするとかなり大かがりな手術になります)
そのため、万が一金の糸でアレルギーが出た場合は、一生アレルギー治療薬を使い続ける必要があります。