著者:
西日本初ほうれい線治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科院長
ヒアルロン酸ジュビダームビスタ/バイクロスシリーズ注入認定医師
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ここでは、ヒアルロン酸をはじめとするフィラー(皮膚充填剤)と新型コロナウイルスワクチンの関係について解説致します。
一見、何も関係なさそうですが、近年米国の症例報告であることが問題になりました。
日本語に訳すと、
皮膚充填剤注入歴のある患者が新型コロナワクチンを接種した際に起きる副反応におけるFDA(日本で言う厚生労働省)報告についてのアメリカ形成外科学会のガイダンスです。
どのような内容なのでしょうか?ここではその内容について解説致します。
目次
ヒアルロン酸を始めとする皮膚充填剤注入後にコロナワクチン接種を受けるとアレルギー症状が出ることがある
報告の内容をまとめると、
- 米国で新型コロナウイルスワクチン(モデルナ製)を受けられた15,184人の内3人で、顔面や口唇の腫れが出現した。
- 3人とも皮膚充填剤(フィラ―,すなわちヒアルロン酸など)の注入歴があった。
- フィラーを注入した日は、1人(46歳女性)は6カ月前、1人(51歳女性)は2週間前、1人(29歳女性)は不明
- アレルギー症状はワクチン接種後2日以内に発生
と言う報告です。
モデルナの報告ですが、ファイザー製ワクチン接種後でも起きる可能性はあります。
推奨事項
同時に、報告ではRecommendationsも発表されています。
内容としては、
- 顔面や口唇の腫れはその3人のみに起きているが、症状の出ていない人で何人フィラー歴がある人がいるのかは不明
- コロナワクチン接種自を非推奨するものではない。症状のあった人は、局所的な症状であり、経口剤(抗ヒスタミン剤、ステロイド)で治癒している。
- ヒアルロン酸であっても非ヒアルロン酸の皮膚充填剤であっても、遅発性過敏症は報告されていいる。インフルエンザの様な疾患が起きた後に見られている。
原因はワクチン接種により免疫反応が起きることによる?
日本においても、ヒアルロン酸注入歴のある方がコロナワクチン接種後にアレルギー症状が出現している症例報告が見られています。
多くは一過性の症状ですが、中には遅発性結節と言って注入したヒアルロン酸がしこりのように硬く腫れるような症状もあります。
そのようになる原因として考えられるのが、新型コロナワクチン接種で身体の免疫反応が起こり、その際に皮膚充填剤にも反応することで一種のアレルギー症状が起きるのだと推測されます。
新型コロナワクチン接種に限らず、インフルエンザワクチン接種でも同様のことが言えます。
現に、米国の報告にあった口唇が腫れた方は過去にインフルエンザワクチン接種でも同様の症状が見られたそうです。
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