著者
西日本初ほうれい線治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科 院長
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ここでは注入したヒアルロン酸を溶かすことのできるヒアルロニダーゼについて、特徴と注意事項について解説致します。
ヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)とは
ヒアルロニダーゼとは元々私達の体内にある酵素です。
ヒアルロン酸を溶かす作用があります。
ヒアルロニダーゼの使用目的
注入したヒアルロン酸の仕上がりが気に入らない時
美容クリニックでヒアルロン酸注入を行ったが、仕上がりが気に入らない時はヒアルロニダーゼを注射し、溶解することで元の形に戻すことができます。
ヒアルロン酸で血流障害を起こした時
ヒアルロン酸はゼリー状の性質のため、注入された際に血管内に入ったり、血管を外から圧迫することで、血流障害と言うトラブルを引き起こすリスクがあります。
これは失明や皮膚の壊死を引き起こす可能性があるため、注入したヒアルロン酸を即溶解する必要があります。
その際には大量のヒアルロニダーゼを使用します。
しかし、失明までに至るほどの血流障害が起きている場合、残念ながらヒアルロニダーゼを投与しても失明が治らないことが多いです。
ヒアルロニダーゼの効果が出る時間
ヒアルロニダーゼは即効性あり、ヒアルロン酸と反応すれば速やかに溶解されます。
ただし、ヒアルロニダーゼが徐々に浸透して数日かかる場合もあります。
ヒアルロニダーゼのリスク・副作用
アレルギー
ヒアルロニダーゼはアレルギーを引き起こす可能性があります。
注入箇所の赤み、腫れ、痒みといった軽度なものから、稀ですが、呼吸困難、全身の腫れ・むくみといった、所謂アナフィラキシーと言われるような全身症状まで起きる可能性があります。
このような場合は抗アレルギー薬(抗ヒスタミン剤、ステロイド)の投与(経口内服or点滴)を行います。
滅多にありませんが、アナフィラキシーに至るほどの重度のアレルギー反応が出ている場合はアドレナリンを筋肉注射します。
腫れ・赤み・内出血
ダウンタイムはほとんどありませんが、注射の影響で腫れ・赤み・内出血が出ることがあります。
腫れ・赤みは数時間~数日、内出血ははほとんどの方が2週間以内に治まります。
1回の注射で溶け切らない可能性
注入したヒアルロニダーゼと接したヒアルロン酸は溶解されますが、注入されたヒアルロン酸の量が多くてヒアルロニダーゼの量が足りていない場合や、そもそも注入されたヒアルロン酸にヒアルロニダーゼが届いていない場合、ヒアルロン酸は溶解されません。
注入されたヒアルロン酸がどこの深さにどれだけあるかは皮膚の外からは目視できないため、明らかなしこりや膨らみになっていれば別ですが、ある程度予想をつけてヒアルロニダーゼを注入することになります。
そのため、1回の注射では溶け切らない可能性があります。
溶かしたくないヒアルロン酸まで反応する可能性
ヒアルロニダーゼは液体なので、注入後流れることがあります。
そのため、溶かしたくないヒアルロン酸まで効果が及ぶことがあります。
例えば、局所的な膨らみを解消するためにヒアルロニダーゼを注入する場合、膨らみの周辺部位は気に入っていたとしても、周辺部位にも作用する可能性があります。
よくあるご質問
痛みはありますか?
注射による施術のため、痛みはゼロではありません。
また、ヒアルロニダーゼを注入される際は部分的に浸透圧の差が生じるため痛みがあります。
ただし、痛みを減らすために、麻酔を使用することができます。
また施術の際に使用する針は極細で、カニューレを使う場合が多いため、痛みは軽減されます。
自分の身体に元々あるヒアルロン酸もなくなりますか?
ヒアルロニダーゼは注入されたヒアルロン酸だけでなく、自分の身体に元々あるヒアルロン酸にも反応し溶解されます。
しかし、体内に元々あるヒアルロン酸は溶解後数日で再生します。
ヒアルロン酸を溶かした後、同じ部位にヒアルロン酸やグロースファクターなど、改めて施術を受けたいのですが、どれくらい間隔を空ければ良いですか?
ヒアルロン酸溶解後、同じ部位に再び注入治療を行う場合、1週間は空けてもらうのが良いです。
新たに注入治療をする場合、できるだけその組織が元通りの状態になっていた方が改めて行う治療の結果がキレイに仕上がります。
そのためにはヒアルロン酸がしっかり溶解されていて、注射に伴う腫れも落ち着いている1週間後以降に行うのが良いでしょう。
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