著者:
西日本初ほうれい線治療専門クリニック
大阪Houreisen美容皮膚科院長
ヒアルロン酸ジュビダームビスタ/バイクロスシリーズ注入認定医師
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ヒアルロン酸はとても優秀な製剤で、人気のある治療ですが、注入すればするほど良いというものでもないです。
適量を超えて、注入しすぎると見た目の違和感を呈す可能性があります。
テレビや町中で、一度はそのような人を見たことあるのではないでしょうか?
ここでは、ヒアルロン酸を注入し過ぎることで起きる危険性について解説いたします。
目次
ヒアルロン酸注入で頬がパンパンになる理由とは?
ヒアルロン酸注射は多くの美容クリニックで採用されている施術です。
「昔の写真と見比べてシワ・たるみが増えた」など悩みを抱えている人にとっては、お手軽で改善できるので人気があります。
適切な頻度/期間で適切な量を注入するのであれば良いですが、入れすぎるとリスクも伴うので注意する必要があります。
ヒアルロン酸入れすぎ症候群 Overfilled syndromeについて
一般的にあまり知られていないですが、ヒアルロン酸注入においてOverfilled syndromeという言葉があります。
参考:Pubmed Anatomy Behind the Facial Overfilled Syndrome: The Transverse Facial Septum
Overfilled syndromeとは、要はヒアルロン酸など(フィラーと言います)顔に注入しすぎて明らかに違和感のある顔貌になっている状態です。
通常は、注入しすぎて違和感のある印象になると、持続期間を待たずに「溶かしたい」と思うのが普通です。
ただ不思議なことに、このような状態になっている方は、なおもヒアルロン酸を注入しようとする方が少なくありません。
周りから見ると明らかに不自然なのですが、本人にとってはそれが普通で、注入することに依存してしまうのです。
昔、扇風機おばさんという韓国人の女性が問題になり、有名になりましたが、おそらくあの方も本症候群に陥っていたのではないでしょうか。
最初は美容外科でシリコンを顔に入れていたそうなのですが、資金が尽きてしまい、そのうち自分でシリコンや油、グリセリンを何回も注入されていたそうです。
見た目の違和感・不自然感のリスク
輪郭を形成したり、コケてしまったボリュームを増やしたりして、見た目をきれいにするために注入するヒアルロン酸ですが、
膨らみすぎ、凹凸、しこり
といったリスクがあります。
ヒアルロン酸を多量に入れたり、一カ所に集中的に注入すると、膨らみすぎて、仕上がりとして不自然な見た目になることがあります。
中には、水の中にドバッと入れた片栗粉のように、ダマになっていつまでも溶けきらずしこりのようになることがあります。
あるいは、注入されている部分とされていない部分で段差が目立ってしまい、整容上美しくは見えないことでしょう。
更に、目の下など皮膚が薄いところでは注入されたヒアルロン酸が青く透けて見えてしまうこともあります(これを物理学用語でチンダル現象と呼びます)。
尚、他にもヒアルロン酸の副作用・リスクとしては、腫れ・内出血・軽度の違和感/痛みといったものがありますが、こちらは自然に改善します。
ヒアルロン酸打ち過ぎはリスクがある
ヒアルロン酸はとても優秀な製剤ですが、使い方を誤ったり、適切な量・回数を超えると、リスク・副作用の確率が上がるだけではなく、見た目的にも違和感を呈し、何のために美容医療をやっているのかわからなくなります。
本記事を書いている著者も、ヒアルロン酸治療をこれまで多数の患者様に行ってまいりましたが、私の治療方針としては適切な量を適切な頻度で不自然にならないよう、しっかり考慮して診療を行っております。
希望されても、私は不要だと思う施術ははっきり不要と言います。
経営的にはあまり良くないのかもしれませんが、目先の利益にとらわれず、お客様がoverfilled syndromeに陥らないよう、健全な美容医療を受けて頂きたいと思っております。
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